NYANKEES

NYANKEES

町で暮らす野良猫達を不良(ヤンキー)として擬人化して描いた作品。縄張り争いや上下関係など、熾烈な世界が描かれた不良漫画のようなテイストと、その合間に挟まれる猫の本能的な動きの描写から動物漫画としても楽しめる作品となっている。「月刊少年エース」2016年9月号から連載の作品。

正式名称
NYANKEES
ふりがな
にゃんきーず
作者
ジャンル
動物擬人化
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
全6巻完結
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あらすじ

第1巻

猫鳴町にぶらりと現れたキジトラのオスのリューセイは、道端で出会ったメスのミイをナンパしたりエサを横取りしたりと、傍若無人な振る舞いをしていた。この町を仕切っているタイガは、そんなリューセイの噂を耳にして戦いを挑む。しかしリューセイはタイガを返り討ちにし、その姿を見たミイは、タイガが敗れた事に驚きを隠せない。タイガが敗れた事はとなり町にも伝わり、となり町を仕切るチーム「猫鬼の尾」が猫鳴町にやって来る。リューセイは偶然から「猫鬼の尾」のメンバーをタイガと共闘して撃退し、なぜ自分がこの町に来たのかをタイガに語る。リューセイは片目に傷のあるゲッカというオスを探していたのだ。折しも、最近になって「猫鬼の尾」のボスが代わったという情報を情報屋のマダラが仕入れて来る。もしかすると、そのボスがゲッカではないかと考えたリューセイは、「猫鬼の尾」のアジトへと乗り込む。

第2巻

猫鬼の尾」のアジトへと乗り込んだリューセイと、リューセイが気になって追いかけて来たタイガは、そこで「猫鬼の尾」の新たなボスとなったサンゴと出会う。サンゴはメスでありながら、その強大な力で「猫鬼の尾」をまとめあげていた。サンゴと激突したリューセイは、死闘の末にサンゴに勝利し、サンゴは猫鳴町から撤退する。そんな折、猫鳴町にモッチという飼い猫が迷い込んで来た。モッチから猫鳴町に謎の3匹の猫が現れた事を知ったタイガは、リューセイと共にパトロールを強化するが、その3匹を裏であやつっていたのはマダラだった。

第3巻

猫鳴町をパトロールしていたタイガは、見慣れない猫のヒョウマを見つける。自分の仲間をヒョウマに傷つけられたタイガは、河原でヒョウマに戦いを挑むが敗れてしまう。さらに猫鳴町の別の場所では、リューセイムゲンと名乗る謎の猫と遭遇していた。異様な雰囲気を漂わせたムゲンは、リューセイとの小競り合いの末に撤退し、そのムゲンを追ったリューセイは別の猫、Mr.モークと出会う。Mr.モークはマタタビを自由にあやつる猫であり、リューセイはそのマタタビによって前後不覚に陥るが、マタタビの香りに慣れたモッチによって助けられる。その頃、タイガが敗れた事を知った弟のライガは、タイガの力になるために行動を開始、Mr,モークを撃退するが、その場にいたリューセイにも敵意をあらわにする。

第4巻

タイガの弟であるライガは、兄と衝突して猫鳴町を追われたという過去があった。兄を尊敬していたライガは、タイガの現在の相棒であるリューセイに嫉妬し、戦いを挑む。それを見ていたタイガは、ライガを説得して仲直りするが、そこへハヅキと名乗るオスの猫が現れる。ハヅキに唆(そそのか)されてタイガと衝突した事を思い出したライガはハヅキに目的を問い質すが、ハヅキはリューセイ達をとある倉庫まで案内し、そこですべてを話すと告げる。倉庫にやって来たリューセイ達は、大量の猫達に包囲される。ハヅキに罠にはめられたと思ったリューセイ達は逃げ出そうとするが、偶然その場に居合わせたサンゴヒョウマムゲン達を巻き込んだ大乱闘となってしまう。なんとかその場を抜け出したモッチは、ハヅキと共にマダラが今回の事件に関係している事を知る。

第5巻

倉庫で大量の猫達に包囲されたリューセイ達は、猫達の大乱闘に巻き込まれてしまう。倉庫の外に脱出したモッチは、この大乱闘を仕組んだのがマダラハヅキである事を知る。情報屋としてタイガ達とも関係を築いていたマダラは、実際にはタイガ達の絆を断ち切るために暗躍していたのだ。さらにマダラは、リューセイの探すゲッカの失踪にも関係していた。その事を知ったリューセイは、マダラに戦いを挑むがマダラは猫の本能を利用した巧妙な罠を仕掛け、リューセイを迎え撃つ。その罠とは、マダラの周囲に動くおもちゃを多数配置するというもので、動くものを攻撃してしまう猫の本能の前にリューセイはマダラに攻撃できずに苦戦を強いられる。リューセイは逆にその本能を利用し、目に入るものすべてを攻撃するという戦法でマダラに勝利する。

登場人物・キャラクター

リューセイ

キジトラのオス猫。食べたい時に食べ、眠りたい時に眠るという猫本来の自由な本能を追求するために野良猫になった。腕っぷしが強く、喧嘩では無敵の強さを誇るが、弱い者いじめを嫌い、勝負が決まった相手を必要以上に追い込まないというポリシーを持つ。話をまったく聞かないいい加減な一面もあるが、筋の通った信念を持っているため、タイガやサンゴをはじめとしてリューセイに魅了される猫も多い。突然、姿を消したかつての仲間であるゲッカの行方を探している。

タイガ

チャトラのオス猫。猫鳴町に住む野良猫達のボスとして町を仕切っている。100条からなる野良猫の掟を作り、その掟を破った猫に対しては容赦をしない。また、仲間を傷つける敵に対しても正面から立ち向かうため、仲間の猫達からの信頼も厚い。当初、リューセイに対しては野良猫の掟を破る相手として敵視していたが、「猫鬼の尾」との戦いを通じて互いに認め合うよき相棒となる。

ミイ

ポイント柄のメス猫。面倒見のいい性格で、猫鳴町のオス達からの人気も高い。猫鳴町に来たばかりのリューセイにナンパされた事で、リューセイと知り合いになる。メスながら気が強く、自分が気に入らない相手には一歩も退かない芯の強さを持っている。猫鳴町で暗躍するハヅキは、ミイの事を「硬派なメス」と評価している。

マダラ

サビガラのオス猫。餌場から近隣の猫の力関係までさまざまな事情に精通している事から「情報屋」としてタイガ達から重宝されていた。しかし実際には、その裏でタイガ達を陥れようと画策しており、タイガの弟であるライガを唆してタイガと仲違いするように仕向けた。また、リューセイが探しているゲッカの失踪にも何らかの形でかかわっている。マダラ自身の腕力はそこまで強くはないものの、戦闘においては相手の実力に合わせた罠を仕掛けるなど狡猾な一面を見せる。

ゲッカ

三毛猫のオス。かつてリューセイと共にとある町で兄弟同然に育ったが、ある日突然リューセイを突き放して姿を消した。リューセイの仲間だった頃は曲がった事が嫌いな性格だったため、リューセイをはじめ多くの仲間達から慕われていた。片目に三日月の形をした傷があり、リューセイはその特徴的な風貌について情報を集めている。現在、マダラがゲッカの失踪にかかわっている事以外はわかっておらず、行方不明のままである。

ライガ

タイガの弟。タイガと共に猫鳴町の野良猫達を仕切っており、高い戦闘力を持っている武闘派として周囲からも恐れられていた。兄弟の仲はよかったが、ライガがタイガに近隣の町への侵攻を進言した事で、兄のタイガの怒りを買い、猫鳴町から追放される。タイガを深く尊敬しており、追放されたあともタイガの事を気にかけていた。タイガの仲間となったリューセイに嫉妬し、戦いを挑むが、それがきっかけとなってタイガと和解し、再び猫鳴町へと戻って来る。

ハヅキ

ハチワレのオス猫。マダラと共に猫鳴町の野良猫達の絆を崩壊させるために暗躍する。マダラとは共通の目的のために行動しているが、その真の目的は不明。つねに冷静沈着な姿勢を崩さないが、リューセイの強さを目の当たりにした時には「まともに戦っても勝ち目はない」と動揺していた。端正な顔立ちをしているため出会ったメスに一目惚れされる事も多く、そんなメス達の様子を見て楽しむという悪癖がある。

ヒョウマ

ベンガルのオス猫。ヒョウマという名前の通りヒョウ柄の猫で、喧嘩では本能をむき出しにした格闘技術を駆使して、相手を完膚なきまでに叩きのめす事を信条とする。つねに強い相手を求めており、見ただけでその相手の強さを見抜くなど、眼力にも優れている。強い相手を求めて猫鳴町に現れるが、同じ時期に猫鳴町にやって来たムゲンやMr.モークとは直接の関係はない。猫鳴町でタイガと遭遇、その実力を見抜いて激突し、次いでサンゴとも戦う。

ムゲン

スフィンクスのオス猫。猫種ゆえに毛がほとんど生えておらず、その異様な風貌から初見の猫から驚かれる事が多い。容姿だけでなく性格も摑みどころがなく、言葉もほとんど話さないために、なにを考えているかわからない。戦闘力は未知数だが、大量の猫を相手にしても互角以上に渡り合えるほどの実力を持つ。ヒョウマやMr.モークとほぼ同じ時期に猫鳴町に現れたが、直接のつながりはなく、その目的は不明。

Mr.モーク (みすたーもーく)

長毛種のオス猫。ヒョウマやムゲンと同じ時期に猫鳴町に現れたが、直接のつながりはない。自分の毛にマタタビをこすりつけており、その毛からマタタビの煙を発する事によって相手の戦意を喪失させる事ができる。この戦法でリューセイ達を翻弄するが、飼い主からマタタビの香りを日常的に嗅がされていた元飼い猫のモッチには通用しなかった。マタタビはあくまでも前菜であり、Mr.モーク自身の真骨頂は格闘技術にあると豪語していたが、ライガとの直接対決で圧倒される。

モッチ

エキゾチックなショートヘアのオス猫。飼い猫として暮らしていたが、とある事件がもとで住んでいた家を出て、そのまま迷い猫となってしまった。猫鳴町に流れ着き、リューセイやタイガと共に生活し始める。飼い猫だったため、リューセイ達野良猫と異なって戦闘力は皆無に近いが、自分を仲間と認めてくれたリューセイ達に対して恩義を感じており、彼らの力になりたいと考えている。

サンゴ

三毛猫のメス。生まれながら大きな体と強い腕力を持っており、周囲の猫達を圧倒して生きて来た。メスでありながらオスをも簡単にねじ伏せる力があり、「メス=守られるもの」という図式をひっくり返す事を目標としている。猫鳴町のとなり町で野良猫集団である「猫鬼の尾」の新たなボスに就任し、野良猫達を守るために勢力拡大に乗り出す。リューセイと戦うが敗れ、彼の強さに魅了され、リューセイの子を産む事を望むようになる。

ゲン爺

猫鳴町の河川敷で生活しているホームレスの男性。猫同士の喧嘩が日常的に発生する猫鳴町において、半世紀もの長きにわたってその喧嘩を見守って来た。猫鳴町の野良猫達を仕切るタイガの実力を高く評価しており、そのタイガを倒したヒョウマの強さに驚く。野良猫達にはたまにエサを与えており、馴染みとなった猫も多い。

集団・組織

猫鬼の尾 (びょうきのお)

サンゴがボスとして率いる野良猫の集団。猫鳴町のとなり町を拠点とし、タイガが仕切る猫鳴町の野良猫達とは町境で小競り合いが続いていた。サンゴがボスになった事で統率力が高まり、勢力拡大を目指して積極的にほかの町へ侵攻するようになっている。

場所

猫鳴町 (ねこなきちょう)

野良猫達が暮らす町。現在はタイガが野良猫達のボスとしてまとめている。住人達の中には魚のアラなどの残飯を野良猫に提供したり、ゲン爺のように猫の喧嘩を見守る住人がいたりと、猫に対して寛容な人達が多い。

書誌情報

NYANKEES 全6巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2017-01-26発行、 978-4041053003)

第2巻

(2017-07-25発行、 978-4041057728)

第3巻

(2018-02-26発行、 978-4041057735)

第4巻

(2018-08-25発行、 978-4041071496)

第5巻

(2019-02-25発行、 978-4041079010)

第6巻

(2019-09-25発行、 978-4041079027)

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