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#アニラン2024 ノミネート『異世界サムライ』担当編集インタビュー 稀有な書き手・齋藤勁吾の“天才”と言わしめる所以に迫る0 Pt.

作成日時:2024-03-22 18:00 執筆者:マンガペディア公式

#アニラン2024 ノミネート『異世界サムライ』担当編集インタビュー 稀有な書き手・齋藤勁吾の“天才”と言わしめる所以に迫る

『異世界サムライ』、著者:齋藤 勁吾、発行:株式会社KADOKAWA


Anime Japan主催の 「アニメ化してほしいマンガランキング」 。

一般応募であるノミネート作品の選定から、本投票が2024年2月1日(木)20:00よりスタートしています。第7回目となる今企画では、50作品のマンガ作品が選出されました。

第6回目にご紹介する作品は、「カドコミ」にて連載中の『異世界サムライ』です。

『異世界サムライ』のあらすじはこちら→ マンガペディアリンク
齋藤勁吾先生 公式X


【担当編集・松本衡明氏 プロフィール】

月刊コミックフラッパー編集部所属。
担当作は、『イズミと竜の図鑑』、『オレが私になるまで』、『世界の終わりに柴犬と』、『ニセモノの錬金術師』、『僕の妻は感情がない』、『余命2ヶ月の異世界健康法』、『FX戦士くるみちゃん』、『RTA走者はゲーム世界から帰れない』など。


ーー 他の作品にはない、この作品の魅力を教えてください。

松本衡明氏(以下、松本) 齋藤勁吾先生(以下、齋藤先生)の才能が“爆発”しているところだと思います。

今までのご経歴としても、秋田書店さんや、集英社さんで連載していたこともあり、画力、執筆速度において、すでに申し分ありませんでした。

『異世界サムライ』では、齋藤先生の重厚な筆圧と、ファンタジーな世界で起こるバトル展開が見事にマッチングしています。

また担当編集をしている僕自身でも、次が予測できない展開、ワクワクする読後感が魅力の素晴らしい作品です。

ーー ご経歴の話もありましたが、今回の連載に至った経緯を伺いたいです。

松本 十数社からお声がかかっていたうちの1つが「フラッパー」でした。

色々お話を重ねていくうちに、齋藤先生が懇意にしている漫画家の先生が僕の担当という繋がりもあり、「フラッパー」が一番連載しやすいだろうという経緯でした。

また齋藤先生が、いわゆる“KADOKAWAっぽい”ネタを描いてくださいました。いただいたネームから、やや微修正したものをTwitter(新:X)に投稿していただいたところ、めちゃくちゃバズったんです。

その反響を受け、「このままやりましょう」と即日上司に話し、即日連載決定に持っていった形ですね。

ーー キャラクターの魅力についてもお伺いできますか?

松本 齋藤先生の“好き”が溢れるキャラクターたちは誰もが魅力的です。

主人公のギンコですが、齋藤先生がものすごく楽しく描いてくださっていて。僕からもギンコについてとくに指摘するところがなく、齋藤先生の120%がキャラクターに注がれています。

ギブリール、ミコといい、生き生きとしたキャラクターを描けていることはとても素晴らしいですし、そういった意味でもかなり特異的な先生だと思いますね。

ーー 編集者からみたここを推したい!ポイント、シーンはありますか?

松本 なんといっても戦闘描写が華やかです。

推したいポイントはありすぎるのですが、齋藤先生の絵には、画力でどんなストーリーも凌駕し、(読者を)納得させる“説得力”があります。

一枚絵のかっこよさ、艶と鮮やかさには、毎回新鮮に感動しています。

ーー 前作『傷だらけのピアノソナタ』に比べ、書き込みが多くなった印象があります。

松本 過去に連載していた『アカトラ』も書き込みが多い作品でした。

齋藤先生は(マンガを描く)手が早いです。またコマ一つ切り取っても、すごく調和が取れています。

漫画家さんに求められる素質として、ネーム力や画力などがあると思いますが、その中の1つとして大事になるのが、どれぐらいのペースで作品を作れるかという“生産力”なんですね。

『週刊少年ジャンプ』や『週刊少年マガジン』、『週刊少年サンデー』と、最も売れるマンガは「週刊誌」じゃないですか。

その中で、齋藤先生はめちゃくちゃ書くのが早いので、その筆の速さだけでこの世界で一生生きていけると思います。非常に稀有な才能です。

ーー 電子連載だからこそのこだわりはありますか?

松本 齋藤先生は見開きの絵に、ものすごい力があります。

ここはいつも(齋藤先生と)戦っているところなのですが(笑)。僕自身としては、見開きはここぞ!というタイミングで使用した方がいいんじゃないかと思っているんです。読者としても毎回右ストレートばかりだと飽きちゃうのではないかなと。

ですが齋藤先生(の絵)は説得力あるので、大抵僕が負けて見開きになっていることが多いですね(笑)。

また読者の方も見開きをすごく喜んでくださるので、齋藤先生が正しかったのかなと思ったりしています。

ーー 原稿を受け取ったとき、思わず唸ってしまったシーンはありますか?

松本 原稿の場合でも、ネームの時点でも、めちゃくちゃあります。

齋藤先生はバトル漫画としても新しい表現であったり、斬新な表現にトライする方なので、毎回驚嘆しています。

火の勇者・グルニカが打たれるシーンはすごく感動しましたね。「弓で打たれて一瞬死ぬ」というシーンですが、天才的な発想だと思いました。ネームの時点ですでに面白かったですし、改めて本当に漫画がお上手だなと。

あとは法の勇者・ドラクロとの戦闘シーンです。見開きでギンコがのけぞって避けるシーンは、(齋藤先生の)頭の中にどのようなカメラがあって、どのように描いているんだろうと不思議に思いました。

“天才”というと安直な言葉になってしまいますが、思考や脳の作りが違うために、こういう戦闘シーンを描けるんだというのをすごく感じています。

ーー もしもアニメ化をするとすれば、期待したいこととは?

松本 1クール前提ではなく、2クール、3クールという形で、『異世界サムライ』を長く楽しんでもらうことかなと思います。

ありがたいことに『異世界サムライ』は、読者の皆様、営業や宣伝の皆様、もちろん齋藤先生のおかげで長く続けられる作品になっています。

原作としても10巻、20巻以上の物語を続けていきたいですし、アニメーションにした際にも2クール、3クールと長く続く作品になっていただけたら嬉しいなと思います。

“マンガ”というのは、キャラクターの魅力で成り立っていると思うんです。

齋藤先生にご納得いただける作品に仕上げることはもちろんですが、僕個人としてはギンコの可愛さと動きは大事にしていただきたいです。ギンコ、ギブリール、ミコなどのキャラクターが(原作のまま)十分に備わっていればいいなと。

ーー 長期連載の話もありましたが、今後の目標、明確なゴールは決まっていますか?

松本 まずは目の前の1話を丁寧にやるというところですが、長期の目標としてはやはり“アニメ化”ですね。

もしも今アニメ化の企画をいただいた場合、放送は4年後、5年後になると思います。そうなると、その先を見据えて連載を続けなければならないし、続けていきたい作品です。

アニメ放送後も、まだまだ連載を続けたいことを考えると、今後も20冊、30冊と(物語を)続けていかなければなりません。そのことを踏まえた上で、連載初期の頃から、齋藤先生には長期スパンで物語を考えてほしいとはお伝えしていて。

色々な未来があるかと思いますが、目の前のことだけを意識しすぎず、最終的な結末はどのような可能性があり、どの選択が一番いいのかを考えています。

ただもちろん1話1話が面白くなければ、読者の方も離れてしまうと思いますので、長期的にも短期的にも折衷案をつくりながら制作しています。

ーー 読者層は決めていますか?青年誌、少年誌、ライトノベル……、どのジャンルの良さも兼ねそろえた作品だと思います。

松本 『異世界サムライ』は珍しく読者層を決めていません。齋藤先生の面白さを打ち出したい、これのみに尽きます。

アニメ化狙いというのは定めていましたので、そういう意味で考えると、男子寄りなのかもしれません。

また「なろう系」(※)の作品の読者層は、30代後半から40代の読者の方が多いのですが、ここの年代よりはもう少し若いイメージを持っていました。

※なろう系…「小説家になろう」から誕生した作品。異世界転生をはじめとする幅広いジャンルを展開する。

ーー 今回の「アニメ化してほしいマンガランキング」は一般投票による選出ですが、ほかにも多くの賞(※)にノミネートされ、業界内での評判も右肩上がりだと思います。想定していた反応でしょうか?

松本 これはもう想定通りですね。

最初に20本近くのネームがあったのですが、『異世界サムライ』がひと際素晴らしく、テーマがバチっとハマった感じがしました。齋藤先生がこのテーマで描くなら、これぐらいは売れるだろうと思っていました。

本当に素晴らしい書き手ですし、テーマ的にも十二分に才能が発揮されていることも含め、(賞の受賞は)すべて齋藤先生のおかげだと思っています。

元のタイトルは『サムライ勇者ーギンコの異世界道中記ー』などだったのですが、先生と相談して、現行のタイトルに変更していただきました。

『異世界サムライ』は、「異世界?」、「サムライ?」と“違和感”を覚える非常に良いタイトルだと思います。

また表紙についても、デザイナーの方が素敵なデザインにしてくださったので、(読者の方が)手に取りやすい部分もあるのかなと。

今回のノミネートはもちろん、数々の受賞に至っては、齋藤先生をはじめ、デザイナーさん、営業さん、宣伝さん、そして読者の皆様があってこそのものです。

まだ本作を手に取られていない方がいらっしゃいましたら、難しいことは一切いりません。是非とも『異世界サムライ』の世界に入って楽しんでください。

純粋に、巨大で面白い物語を楽しんでほしいと思います!

※多くの賞…「次にくるマンガ大賞 2023」Webマンガ部門:17位、「このマンガがすごい! 2024」オトコ編:17位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」:8位

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